地域共創推進室
変化の激しい時代において、私たちがこれからも「選ばれる企業」であり続けるには、私たち自身が変化を続け、地域課題の解決につながる新たな価値を提供していかなければならない。地域共創推進室は、まさにその具現化に向けて2024年4月に創設された新規部署だ。今回は地域共創推進室の意義とメンバーの意気込みについて伺った。

地域の社会課題を解決するために

─── 地域共創推進室が創設された経緯を教えてください

鈴木:2024度から遠鉄グループの新たな中期経営計画が始まり、「人を大切にして企業価値を高める」という基本方針のもと、5つの重点テーマが掲げられました。私たち地域共創推進室は、この重点テーマの1つである「地域・社会への貢献、環境課題への取組み」を具現化するための組織です。2024年4月の創設時は室長の私1人でスタートしましたが、6月に2名が加わり、現在3名が在籍しています。

─── 具体的な活動について教えてください

鈴木:地域共創推進室のミッションは、社外のプレーヤーと協働して、社会のニーズや課題解決に取り組み、社会的価値と経済的価値を創造することです。その上で、具体的な活動として「事業創出・課題解決に向けた取組み」「理念浸透・社内意識の醸成」「カーボンニュートラルの推進」の3つの柱を設定しました。

自前主義からの脱却

鈴木:1つ目の「事業創出・課題解決に向けた取組み」は、社外のプレーヤーとの協働を意識したものです。これまで当社は、どちらかといえば、自社やグループ内のリソースを活用して課題解決をする「自前主義(=クローズドイノベーション)」の考え方が強く、社外プレーヤーと協働する意識は低かったと思います。そこから脱却するためには、私たち地域共創推進室が遠鉄グループと外部プレーヤーを繋ぐプラットフォームとなり、外部の知見やリソースを活用しながら、オープンイノベーションに取組み、課題解決のための具体的な道筋を立てる役割を担う必要があると考えています。そのためにも、私たちが社外へ出て、地元企業やスタートアップが集まる場所に積極的に参加し、社外プレーヤーとの関係性を構築するところから始めています。

また今年の10月からは、名古屋に新しくオープンした日本最大級のオープンイノベーション拠点である「STATION Ai」にも参画し、セミナーや交流会を通じて社外プレーヤーとの接点を増やしていく予定です。これを契機に外部プレーヤーとの協業が進み、社内にもオープンイノベーションを推進する人材が増えれば嬉しいですね。

桐岡:また、遠鉄グループの幅広い接点を活かして「産学連携」にも力を入れていきたいと思います。学生たちが活動を通じて地域への理解と愛着を育み、ゆくゆくは地域で活躍してもらえる次世代の人材育成に取り組みたいと思います。そのためにも、グループ内のあらゆる接点を活用して、地域住民のお困りごとは何か、若者の関心は何かなど、さまざまな情報を集める必要があります。

一人ひとりの意識改革が必要

鈴木:2つ目は、「理念浸透・社内意識の醸成」です。4月に推進室を立ち上げましたが、私たち3人だけでオープンイノベーションの旗を振っても、長年続けてきた「自分たちで全てをやりきることが美徳」という自前主義の風土から脱却することは容易ではありません。まずはこれまでの価値観や常識を打ち破り、意識改革をすることが必要です。

私自身も室長の辞令を受けた際には、社長から「どんどん外へ出て、いろんな関わりを持ってほしい、正解は無いので、まずはチャレンジしてほしい」と声をかけられ、かえって何をしたら良いのか分からず悩んだ時期もありました。さらに、参加した市内の異業種交流コミュニティでは、当社以外の多くの企業がすでに参加し、地域共創のために積極的に活動していたことにも衝撃を受けました。自分への反省も込めて、本当に意識改革が必要だと実感した瞬間でしたね。

桐岡:自前主義の全てが悪いわけではありません。ですが、これまではグループ内の人脈を生かして仕事を進めることが一人前の「遠鉄人」という価値観があったために、私たちの関心はどうしても社内へと向きがちでした。それに慣れてしまうと視野が狭くなり、遠鉄の常識の範囲内でしか仕事ができなくなってしまいます。私たちの役割は、視野を広げるための気づきを社員に共有し、自ら考えて動ける「自走できる人」が1人ずつ増えていくような社内風土をつくることだと思っています。

山下:私自身も異動するまでは、地域貢献や新規事業というのは、会社の上層部が決めることで、私たち若手は上司から下りてきた仕事を粛々とこなしていくことが仕事だと思っていました。そのため、仕事上で会うお客様やお取引先様以外の方と積極的に交流しようと思ったことがありませんでしたが、今では市内のコミュニティに一人で足を運ぶようになりました。普段の仕事では接点のない方々と、フラットな関係性でお話させていただくことが楽しいですし、とても刺激を受けています。

鈴木:我々3人はおおよそ10歳ずつ歳が離れているんですよ。世代ごとで見えている景色や大切にしている価値観が違いますし、若手社員の方が圧倒的に得意な分野やスキルがあるはずです。年齢に関わらず若い人たちが委縮せずに新しいアイデアを出せる社内風土を醸成していかなければと思っています。

─── 社員一人ひとりが社外に目を向けて地域の課題解決に取り組むには何が必要でしょうか

鈴木:スタートアップ企業の人たちとお話すると、「自分さえ良ければいい」という発想でやっている人は全くいないんですよ。むしろ手弁当で自分の時間や資金を使ってでも誰かの役に立ちたいという気持ちで、地域の利益を優先させている方が多いです。我々も「仕事だからやる」という意識レベルではなく、自分たちがやりたいからやるという気持ちが大切なんだと思います。遠鉄グループの従業員は、元々地元の人が多く、地元のために何かしたいというマインドは絶対に持っていますし、その想いで入社してきた人が多いと思います。その原点に立ち返り、人の役に立つとか、ありがとうと言われることが、やりがいに繋がっていくんだということを伝えていきたいですね。

地域の未来を切り拓く突破口となるために

鈴木:3つ目の「カーボンニュートラルの推進」に関しては、非常に息が長い取り組みになりますので、まず遠鉄グループ全体のCO2排出量を可視化するところから始めています。今やっと昨年度の数値が出てきたところですので、このデータをもとに2030年、あるいは2050年に向けて、目標設定や、削減の具体策をこれから検討していく予定です。

─── 課題解決のために推進室でやっていきたいこと、それに向けてご自身が取り組んでいることはありますか?

鈴木:常にインプットですね。少なくとも、遠鉄グループの事業と各社の課題や、リソースを充分理解する必要があります。加えて、この地域が抱えている課題、協業先となる企業が持っているアイデアや技術、さらにそれぞれの目的を理解しないと、どこと組んで当社が何を提供すればいいのかわかりません。 また、グループには直接関わりのないような世間の時流にもアンテナを立てておかなければと思っています。

山下:私は入社して4年目になりますが、これまで遠鉄グループのどこが強みで、どんな課題を持っているのかというところまで、正直理解できていませんでした。今回、推進室でグループ各社のリソースやアセットの資料取りまとめ等を担当させていただいたことで、初めて見えてきたことが多く、日々業務というよりは勉強をしている感じです。

桐岡:地域共創推進室としては、外との繋がりをつくるだけでなく、オープンイノベーショによって新規事業を立ち上げ、自社のみでは成し遂げられない新たな価値を創造することを目指しています。そして社内の人たちにも、新しい活躍の場を自分たちでつくることができるという成功事例を、目に見える成果として示したいですね。

鈴木篤人
経営推進本部地域共創推進室
入社年/1998年

入社以来運輸事業部で路線バスを担当。その間、遠鉄山の家、天竜浜名湖鉄道、労働組合専従、百貨店・レンタリース浜松への出向を経験。2024年4月に地域共創推進室長に就任に就任。

桐岡俊太郎
経営推進本部地域共創推進室
入社年/2009年

保険事業部にて営業、人材マネージメントを経験。その後人財開発課にて採用、人材育成、労務管理、制度設計などを経験。2024年6月より地域共創推進室に在籍。

山下華穂
経営推進本部地域共創推進室
入社年/2021年

不動産事業部マンション課にて新築分譲マンション営業を経験。5棟のマンション営業を担当したほか、販売促進業務を経験。2024年6月より地域共創推進室に在籍。

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