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PROJECT

プロジェクト紹介

リノベーション参入を軸に、売上2倍の成果を達成した変革の軌跡
賃貸事業 Renotta プロジェクト

当社の賃貸事業は長年目立たない存在でしたが、約10年前からオーナーや入居者の多様なニーズに対応し、デザイン性の高いリノベーションを導入。仲介から管理へと軸足を移し、「物件価値の最大化」を追求した結果、売上倍増を実現しました。

PROJECT MEMBER

不動産事業本部
賃貸管理課

鈴木 康朗
SUZUKI YASURO
2004年中途入社

不動産事業本部
賃貸管理課

山本 圭吾
YAMAMOTO KEIGO
2008年4月新卒入社

不動産事業本部
賃貸管理課

鈴木 潤
SUZUKI JUN
2014年4月新卒入社

仲介から管理へと軸足を移し、「物件価値の最大化」を追求した結果、売上倍増を実現しました。

まずはプロジェクト発足の背景についてお聞かせください

康 朗 :

きっかけは、賃貸事業自体が過渡期を迎えていたことにあります。賃貸事業というのは、基本的に賃料1ヶ月分が売り上げのベースなので、正直、数をこなさないと大きな収益が見込めない。そこに、オーナー様や入居者様のニーズの多様化、大手FCをはじめとしたリーシング分野の競争激化などがますます顕在化し、今後を見据えた『賃貸事業の見直し』が迫られるようになりました。

山 本 :

そこで舵を切ったのが、従来の賃貸仲介をメインとした事業から、賃貸“管理”の事業への転換です。これが賃貸事業の収益性を向上させる最も効率的な方法だと考えました。

康 朗 :

『管理が増えれば、売り上げが増える』。これは不動産業界の常識といえる考え方です。そしてもうひとつ、これは当社ならではの事情なのですが、もともと売買事業が安定した収益を出していたことで、社内にはどこか『賃貸はあくまで補助的なもの』という意識が根強く残っていたんですね。賃貸事業に関してはもっと可能性があったにも関わらず、“まずは売買事業”という判断が続き、本格的な取り組みには至らなかったのです。

鈴木潤 :

その壁をこじ開けたのが、私たち3名の精鋭部隊…ということでいいですよね(笑)。

康 朗 :

そうですね(笑)。結論から言いますと、これまでの賃貸事業の停滞を一気に取り戻したくらいの成果を出せたと自負しています。実際、この10年で賃貸事業の売り上げは2倍にまで伸ばし、他の不動産事業とも肩を並べられるほどの存在にまで成長しました。

成果が出始めたのはいつ頃からですか?


康 朗 :

早い段階からかなりの手応えを感じていました。1年経った頃には〈Renotta〉加盟店舗の中で施工実績全国1位となり、メディアにも取り上げられるようになりました。それでさらに認知度や信頼性がアップしたんですよね。同時に、他県の加盟店舗さんとの交流や情報交換をすることで、全国のベンチマークが得られたことも大きな収穫となりました。

山 本 :

施工実績以外にも、デザイン賞など、ほとんどの賞を受賞しましたからね。私もこのプロジェクトが始まってすぐに『若い人に選ばれる物件は需要がある』ことを確信できるようになり、自信を持ってデザイン性の高い物件を増やしていくことができました。特に当時は、デザインが尖っていれば尖っているほど話題になり、多少ロケーションに課題があったり、賃料の高い物件でも、『ここしかないから入居したい』という人が後を絶たなかったんです。イメージとしては、50人中45人を取り込むのではなく、2~3人の“刺さる層”をターゲットにする戦略でした。

鈴木潤 :

振り切った部屋から埋まっていって、大きく手を入れていないところはなかなか決まらなかったんですよね(苦笑)。

ーそんな中、どのようにプロジェクトを進めていったのでしょうか?

山 本 :

最初はとにかく成功事例を作り上げることに注力しました。そこで目を付けたのが、自社物件(遠州鉄道が自社で保有するアパート・マンション)です。まずは自社物件からリノベーションを行い、それをモデルルームとして、オーナー様向けの説明会や見学会などを開催しました。百聞は一見にしかずの通り、実際にリノベーションされた部屋をご覧いただくことで、少しずつオーナー様たちのイメージや意識が変わっていき、より具体的に〈Renotta〉の可能性について説明できるようになりました。

鈴木潤 :

自社物件の存在は本当に大きかったですし、私たちの『やりたい』に対してすぐにGOを出してくれた会社にもすごく感謝しています。山本さんがおっしゃった通り、実際のリノベーションルームをご覧いただくことで、入居希望者の傾向やニーズ、物件の資産価値の向上についてもわかりやすくお伝えすることができました。そしてだんだんと『ひとまずあの物件でやってみるか』とか『とりあえず一部屋だけ試してみたい』という声があがるようになったんです。もちろん、興味を持っていただいたタイミングで、物件管理や保険に関することなど、新規で導入するサービスの提案もすることができました。

康 朗 :

〈Renotta〉が成功した背景にはもうひとつ、部屋探しの主流が店舗からデジタルに移行したことも大きかったと思います。店舗に出向いて最低限の情報と間取りだけで部屋を選んでいた時代から、想像力をかきたてる写真や動画での情報発信が主流となってきたんですよね。〈Renotta〉にアクセスしてもらえれば、若い人やこだわり派の人が注目してくれるようなデジタル情報が網羅されていましたし、そのおかげで入居につながったケースもたくさんありました。

山 本 :

あと、地元の銀行に協力していただき、新たなリフォームローン制度を組んでいただけたこともプラスに働きました。銀行主催で賃貸リノベーション説明会やセミナーなども開催していただき、そこで私たちも説明をすることで、営業や提案のハードルがかなり低くなったように思います。

ー賃貸事業躍進の鍵となったのが、リノベーションブランド〈Renotta(リノッタ)〉への加盟でしたか?

康 朗 :

〈Renotta〉は、石川県にある賃貸管理会社が全国展開するリノベーションブランドです。加盟をすると、さまざまなアパートやマンションに適合するデザイン性の高いリノベーションプランのノウハウを享受することができます。この〈Renotta〉を活用することで、賃貸物件の資産価値の最大化(入居率や家賃の向上など)、そして、物件管理受託への足掛かりになると考えました。まだそこまで賃貸物件のリノベーションというものが浸透していない時代でしたが、静岡県内で初めての〈Renotta〉加盟店舗となり、先駆者的に参入できたこともすごくタイミングがよかったと思っています。

山 本 :

でも当初は、想像していた以上に『物件をリノベーションして、新たな資産価値を生み出す』という概念が理解されなかったんですよね。社内においても半信半疑な雰囲気がありましたし、オーナー様への提案となるとなおさらで。

鈴木潤 :

従来の賃貸経営では『物件の価値は経年とともに減少していく』という保守的な考えが一般的でした。そのため、多くのオーナー様は『できるだけ少ないリフォーム費用で、いかに次の入居者様を確保できるか?』に重点を置かれていたのです。しかし、〈Renotta〉のリノベーションは、それとは真逆の発想。部屋のリフォームに一定規模のお金をかけることで、物件の価値を高め、より多くの入居者様に選ばれる部屋へと再生するというアプローチでした。

山 本 :

投資に似た概念なのですが、これを伝え切るのが本当に難しかった(苦笑)。特に私は新規顧客へのアプローチをメインに動いていたので、すごく苦労したのを覚えています。『東京ならわかるけど、浜松じゃまだ早過ぎる』という声もよく耳にしました。

康 朗 :

当時はやはり『いかに費用を抑えられるか?』がオーナー様にとって最も喜ばれるスキームだと考えていました。ですので、『あえて費用をかけていただく』という提案は、正直、ハードルが高かったと思います。これまでであれば、ちょっとした修繕と簡単な掃除で20万円ほどに収まっていたものが、リノベーションとなると、費用の桁がひとつ上がることもある。加えて、プランに関しては〈Renotta〉独自のデザインを採用するので、基本的にはこちらにお任せいただく形になります。オーナー様からしたら戸惑われることもあったと思います。

賃貸事業に関して、今後の展望や目標などはありますか?

康 朗 :

冒頭でもお伝えした通り、賃貸事業の売り上げが2倍になったという数字だけでも、このプロジェクトは大成功だったと思います。もちろん、まだまだ伸び代はありますので、これからも時代の流れやトレンドを読み解きながら、培ってきた経験と実績をベースに、賃貸事業のさらなる発展を継続していきたいですね。

鈴木潤 :

今回のプロジェクトに参加したことで、改めて『オーナー様にとって何が一番のメリットなのか?』を考えさせられました。結局のところ、価格だけで勝負するのではなく、リノベーションによって付加価値を生み出すことでも、オーナー様のメリットを最大化することができるんですよね。そういった本質を見失わずに、これからも賃貸事業の収益向上に向けて、さまざまなアクションをしていってほしいと思います。

山 本 :

この10年で賃貸物件のリノベーションというのは広く認知されるようになりました。もちろん、同様の取り組みを行う企業も増えてきましたが、そこはやはり、私たち遠鉄グループが地域の先駆者としていち早く賃貸リノベーションに着手し、オーナー様との信頼関係を築いてきたという強みがあります。ですので、今後も一層『遠鉄さんに物件の価値を高めてもらいたい』『物件の管理もお任せしたい』とご依頼いただけるよう、邁進していってほしいと思います。

康 朗 :

バーチャルステージングやAIを使った写真選びなど、プロモーションの方法も劇的に進化していますからね。これらを積極的に取り入れることで、さらに選ばれる物件を増やせていけるのではないでしょうか。

最後に、みなさんが考える『賃貸事業のやりがい』について教えてください

康 朗 :

時代の変化に対応しながら、オーナー様や入居者様のニーズを的確に捉えること。それが賃貸事業の面白さであり、これからを生き抜く鍵だと考えます。ユーザーはどんどん少なくなっていく中で、物件の数は増え続けていますので、近いうちに供給過多になるのは避けられない。そうなるとお困りのオーナー様が増えてくるわけですが、困っているということは、私たちの業務のニーズが高まっていることを意味します。つまり、賃貸事業は、まだまだ成長できる分野なんです。

山 本 :

浜松市の賃貸管理を見てみると、トップクラスの企業でも管理戸数は約1万戸程度に止まっており、比較的広く分散しているのが現状です。ですので、そういった分散しているところを取り込んでいき、少しずつシェアを獲得していければ、もっともっと管理収益を伸ばすことができると思います。

鈴木潤 :

そういった状況も踏まえて、若い人たちにはどんどん『次はこれがバズりそう』を提案してもらいたいですね。遠鉄グループの良いところは、若手の意見であっても否定せず『とりあえずやってみろ』と背中を押してくれるところにあって、特に不動産事業ではその傾向が強い。『ホントにやっちゃっていいの!?』って思うくらいのびのびやらせてもらえるので、次の先駆者的なプロジェクトを立ち上げたい人には、ぴったりの環境だと思います。

康 朗 :

遠鉄に入社できたからといって『地元の大きい企業に入ったからもう安心』とは思わず、つねにチャレンジする姿勢を大切にしてほしい。不動産の仕事に限らず、どんな場面でも『考えながら行動する』ことが重要です。立ち止まらず、前を向いて挑戦し続ける。その積み重ねが、きっと大きな成長につながっていきますから。